
ハンスト突入の記者会見をする女性たち。枝野経産大臣も恐れおののくような面々が揃った。=1日午後、経産省前・脱原発テント広場。撮影:筆者=
原発を止めるために女たちが、また体を張った。経産省前で国の原子力政策に抗議の座り込みを続けている『原発いらない福島の女たち』が、今度は全国各地でリレーハンストに入ったのである。
「大飯原発の再稼働を許してはならない」と福井県庁ロビーで断食を続けた中島哲演師(小浜市の名刹・明通寺住職)の志を受け継ぎ、3月31日にトップバッターの黒田節子さん(郡山市在住)が水と塩分しか摂らない生活に入った。
「福島の現状は何ひとつ変わっていない。私たちと多くの子供たちは不安を抱えながら毎日を過ごしている。やれることをすべてやっていく」。今日、「経産省前テントひろば」で記者会見した黒田さんは、ハンストを決意した経緯と意気込みを述べた。
「福島の女たち」の心意気は、ツイッターなどを通して全国各地に広がった。浜岡原発のお膝元静岡では女性有志がハンストに入るもようだ。「テントひろば」には首都圏からハンストに参加する女性たちが駆け付けた。
相模原市に住む女性(70代)は終戦の時5歳だった。「『原発と原爆は一字の違い』といい続けてきた。原発事故は命より儲けを優先した結果起きた。自分ができることをしたい」。自らの人生を言葉に凝縮させるように女性は語った。
狭山市から足を運んだ女性(60代)は、茶の葉が放射能汚染されたため狭山茶が飲めなくなった。「ここで再稼働すれば子供たちの未来はない。(福島第一原発1・3号機の)核燃料棒がメルトスルーしているかもしれない。地球規模で汚染されているのに再稼働なんてありえない」。女性は怒りを噛みしめた。
ハンストを呼びかけた『原発いらない福島の女たち』によれば「(断食は)何日でも何処でも何回でもいい」。多くの女性たちが仕事をしながらでも参加できるようにするためだ。
再稼働がなければ日本中の原発が止まる5月5日(北電泊原発が定期点検に入る日)まで、全国どこかで女たちがハンストを続ける。
過去いくつもの政権が女性を敵に回しては潰れてきた。野田政権を倒すのは消費税増税に反対する勢力ではなく、原発再稼働を阻止する女たちの力かもしれない。
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「ハンスト決行」の看板を作製しているのは、『原発いらない福島の女たち』共同代表の椎名千恵子さん。=撮影:筆者=