【放射性がれき拡散】 細野環境相 「専門用語」散りばめるも答えにならず 

被災地瓦礫の処理状況を説明する細野環境相。=3日、環境省。撮影:田中龍作=

被災地瓦礫の処理状況を説明する細野環境相。=3日、環境省。撮影:田中龍作=


 
 31日、「瓦礫受け入れキャンペーン」で京都を訪れていた細野豪志環境相のぶら下がり記者会見で、筆者(諏訪)は測定時間などについて質問したのだが、大臣から返ってきたのは、要領を得ない答えだった。納得がいかない筆者は3日、環境省での記者会見で再び細野大臣に質した。

諏訪:セシウム134と137だけの測定で大丈夫と大臣はお考えだそうだが、なぜか?

細野:セシウム134、137で測れるのは、これまでさまざまな測定をしてきたなかで、セシウムで測れば、それ以外の核種は、それよりも非常に、いわゆるその放射性物質においても、ベクレルにおいても、放射能というレベルにおいて懸念はない。

 細野氏は知っている専門用語を散りばめて話したが、答えになっていなかった。東京都や千葉県では人体に有害なγ線、α線が検出されている。α線が検出されているということは、セシウム以外の核種で放射能汚染されていることを示すものだ。なぜ懸念はないと言い切れるのか。
  
細野:広域処理をしているものについては、極めて低いレベルに留まっていますので、しかも木製の物に限定していますので、ですから、そこも含めて安全性を確保しまして広域処理をお願いしている。

諏訪:自治体によって測定時間と測定機種が違う。一例でよいから機種と測定時間を教えて下さい?

細野:測定時間は機種によってそれぞれですから、測定時間はこれ位測ればキチンと出るというのがありますから、それに基づいて行っている。何か全体的な基準を作ってというものはない。

「瓦礫受け入れキャンペーン」のため訪れた京都で、ぶら下がり記者会見に応じる細野大臣。諏訪(手前・赤いリュック)が追及したが、噛み合わない答えしか返ってこなかった。=31日、京都駅前。撮影:田中龍作=

「瓦礫受け入れキャンペーン」のため訪れた京都で、ぶら下がり記者会見に応じる細野大臣。諏訪(手前・赤いリュック)が追及したが、噛み合わない答えしか返ってこなかった。=31日、京都駅前。撮影:田中龍作=

諏訪:数値が低いほど測定時間が重要になってくる。それは何分なのか、何時間なのか?

細野:ですから、それぞれ機種によって違うので、それぞれの機種に応じて適正な使い方がありますから、それで測っているということです。

 筆者が測定時間について質問しているにも関わらず、大臣は「機種によって違う」と答えた。相変わらず噛み合わない。

諏訪:一例で結構ですので、機種をお伺いできませんか?

細野:一般的な話を一例で落とし込んでも意味がありませんから、機種によって違うからそれぞれで測る。

諏訪:5分なのか1時間なのか、それによって違うのか?
細野:機種によっても違うから、1時間とか何分とか言っても意味がないじゃないですか。

 機種は国産メーカーだけでも数十社ある。値段も80万円から上はキリがない。安い機種は検出限界値が高くなるため信頼性に欠ける。安定した数値を期待できるのは500万円以上の機種だ。

 同じ放射能含有量の検体を測っても、機種や測定時間によって検出される数値は異なる。複数の民間測定機関が数値を突き合わせたりするのは、このためだ。政府の発表する数値が国民の信頼を得ていないのは、民間機関のような緻密さに欠けるからではないだろうか。

 細野大臣と筆者の質疑応答は平行線のままだった。これで瓦礫を押し付けられる自治体の住民は納得いくだろうか。
(文・諏訪 京)


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