原発再稼働反対を訴えて数万人~20万人もの人々が結集する、毎週金曜夕の首相官邸前。政治に“もの言う”場所として定着した感がある。代々木公園、明治公園で叫ぶよりも政権中枢にダイレクトに届くのが、参加者の励みになるのだ。
「コンクリートから人へ」と約束して政権を奪取した民主党の最大の嘘が、「弱者の切り捨て」だった。代表は派遣法改正の骨抜きと消費税増税だ。
骨をきしませるようにして働いても収入が少なく生活は苦しい。あげくに消費税増税で貧者に重荷を課すのである。
貧乏はもうたくさんだ。官邸に向かって声をあげよう。『このまますすむと困っちゃう人々の会』が呼びかけて、毎週水曜を「反貧困の日」とした。場所も金曜集会と同じく官邸前交差点の歩道上だ。今夕は第1回目の集会となった。
反貧困ネットワークの宇都宮健児・代表が挨拶に立ち、野田首相の耳に届けとばかりに訴えた――
「政治は間違った方に向いている。国民の声は霞が関に届かない。貧困、非正規で苦しんでいる人が声をあげ、(金曜日の)再稼働反対集会に負けないくらいに取り組んでほしい」。
『政党助成金もらっている政治家に生活保護受給者をいじめる資格なし』と書いたプラカードを持つ女性(20代)は、都内在住の団体職員だ。月収は15万円位。月収12~13万円の友達もいる、という。奨学金を返済して、家賃、食費、光熱費を払ったら、手元にほとんど残らない。
「これで消費税を上げられると生活してゆけなくなる。野田政権は国民に言ったことをこれ以上裏切らないでほしい」。女性の口調は静かだったが、怒りがヒシと伝わってきた。
女性は金曜日の再稼働反対集会にも参加しているという。「官邸前で声をあげることの影響の大きさを知った。水曜の反貧困も頑張りたい」。こう語る彼女の目には微かに希望の光が宿っていた。
《文・田中龍作 / 諏訪京》
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