原発再稼働に抗議する首相官邸前の金曜集会が始まって半年が経ちました。最盛期の7~8月には20万人を超す参加者(主催者発表)で膨れあがり、警察の規制線が決壊することもありました。
官邸前に集う人々の数は、夏休みの頃に比べると減っています。政府関係者がそれを見て、ほくそ笑んだとしたら大間違いです。官邸前が減った分、全国各地の脱原発デモ集会が盛んになっているのです。バスを仕立てて官邸前に駆けつけていたグループ、飛行機で遠路はるばる来ていた夫婦……、彼らは今、地元で「再稼働反対、原発廃炉」のシュプレヒコールをあげているのです。その数は確認できるだけでも全国70ヵ所余りにのぼります。
ところがマスコミはそれを報道しようとしません。「孫子の将来まで危うくする原発を動かしてはならない」という国民の叫びは、ないものとされています。
声を声として伝えたい。『田中龍作ジャーナル』は全国各地に飛び火する金曜集会のもようを8月から隔週で取材、報道し始めました。
その土地ならではの脱原発感情があり、人々が原発への嫌悪感、恐怖感を根強く抱いていることに驚きます。静岡の金曜集会に参加していた焼津の漁師(30代)がこんなことを話していました――
「親の代から第五福竜丸事件を忘れるなと言い継がれてきた。(福島の原発事故で)焼津沖まで放射能が来ているという行政の発表はない。だが海は一度汚れたら元には戻らない」。静岡は活断層が施設のすぐ傍を走る浜岡原発を抱えています。
青森の金曜集会で参加者の男性(60代・会社員)が語った言葉が忘れられません。「世界一危険な再処理施設のある青森が反原発運動をやらないで、どこがやるんだ」。彼は自らに言い聞かせるようでした。経済を原発に依存している地域で「原発にノー」を言うのは、大変なプレッシャーです。
故郷に根を降ろしながら、原発に頼らず健やかに暮らしたいと願う人々の姿をマスコミは報道しません。『田中龍作ジャーナル』で伝える他ありません。
全国各地のもようを伝えるには、全国各地に足を運ばなければなりません。諏訪と二人分、多大な交通費を要します。読者の皆様に支えて頂く他ありません。今の財政状態では続けることが厳しい状況です。一層の経済支援を切にお願いする次第です。 《田中龍作》