「子供だまし」などと言うと、子供が怒るだろう。誰が聞いても分かるウソが野田政権の原発政策だ。「原発の新増設は認めない」と言っておきながら、大間原発、島根原発など3原発の建設は認めるというのである。
原子炉の寿命とされている40年間は稼働するので、2050年代半ばまで新設された原発は動くことになる。「2030年代までに原発をゼロにする」というのも真っ赤なウソである。
政府の“解禁”を受けて、建設工事の再開をいち早く表明したのが、電源開発株式会社の大間原発(青森県下北半島)だ。北村雅良社長がきょう地元を訪ね、工事の再開手続きに着手することを表明した。大間原発は2008年に建設が始まっていたが、福島原発の事故(2011年)以降、工事が中断されていた。
環境団体や市民たちはきょう昼休み、電源開発本社(銀座)の前で「建設反対」を訴えた。
「電気は足りています。MOX燃料で作った危険な電気は要りません…」。聳え立つような電源開発の巨大ビルに向かってアピールした。
ウランとプルトニウムを合成したMOX燃料は、近くの「六ヶ所村再処理施設」で製造する計画だ。ところが再処理施設はトラブル続きで稼働していない。電力会社幹部でさえ「当分動かない」と国会議員に話した、という。
「再処理施設は稼働する」ということにしないと、電力会社は青森県から使用済み核燃料を突き返される。そのため再処理施設で作ったMOX燃料で発電する大間原発を建設する。
最初のウソを誤魔化すために、新たなウソをつく。いい加減で場当たり的な原発政策を象徴するような話だ。壮大な虚構である。
大間原発は活断層が施設の下を走る。大地震が起きれば、福島の悪夢が再現される可能性もある。
庶民にとって「これだけはイヤ」ということを最後に言っておこう。放射能漏れなどのトラブルが起きれば大間のマグロは食えなくなる。