【諏訪都リポート】 再稼働の嵐に備えて 「阻止全国ネットワーク」結成

原発銀座の福井から来た女性(右)。「一人一人が最大限の力を出してやっていくしかない。原発の専門家じゃないと難しい事は言えないのか。でも子どもを2人産んで、大事に育ててきた私は、命の専門家ですから、発言し続けます」。=10日、東京水道橋。写真:諏訪撮影=

原発銀座の福井から来た女性(右)。「一人一人が最大限の力を出してやっていくしかない。原発の専門家じゃないと難しい事は言えないのか。でも子どもを2人産んで、大事に育ててきた私は、命の専門家ですから、発言し続けます」。=10日、東京水道橋。写真:諏訪撮影=

 北は北海道泊、南は九州玄海の全国19道府県から、原発再稼働に反対する市民が10日、東京水道橋に集結した。
 
 現在、日本の原発は、大飯原発3、4号機を除いてすべて停止している。だが近い将来、政財界や電力会社が虎視眈々と狙う再稼働が怒涛のごとく押し寄せてくることが予想される。

 それに備え、原発の地元や周辺自治体で運動している市民同士がつながり、再稼働を阻止するための全国組織を結成した。

 その名も「再稼働阻止全国ネットワーク」(以後、阻止ネット)。(主催:再稼働反対・全国アクション、反原発自治体連盟、経産省前テントひろば、ストップ再稼働現地アクション、たんぽぽ舎)

 「1日1億円と言われる原発利益。電力会社は再稼働(もうけ)をしたくてうずうずしている。私たちは全力でこれに立ち向かうために、知恵と力を惜しみなく出し合おう」。No Nukes Plazaたんぽぽ舎共同代表の柳田真氏が訴えた。

 阻止ネットは、今年4月に伊方で行われた西日本緊急集会で結成された「伊方原発の再稼働を許さない市民ネットワーク」が始まりだ。その伊方から堀内美鈴さん(原発さよなら四国ネットワーク)が夜行バスで駆けつけ、現地の状況を報告した。

 「ついに全国ネットが結成され、心強く思う。伊方原発の立地市町村では、一軒一軒チラシをまいて、理解を求める運動をしている。住民からは、『仕事がなくなるのも困る。でもこのまま続けるのも心配』との意見を聞く。(事故が起きたら)同じ被害を受けるであろう現地の人が理解し合い、協力できるようにしたい」。

 泊原発反対運動の小林善樹さん(札幌在住)も阻止ネット結成を喜んだ。

 「官邸前行動を受けて、札幌でも毎週金曜日、道庁前と原電開発前で抗議行動をしている。多い時は約800人集まった。9月には、泊原発再稼働反対集会に全国から応援にきてくれた。ネットワークが作動して、連携がうまく出来るよう期待している」。

元原発作業員、斉藤征二さん(右)。「原発作業ではチリや埃を吸わないようマスクをするが、曇ったりしてフィルターを緩めることがある。どうしても外さなければ作業が出来ない時も。私は、体中にメスを入れられた。甲状腺、背中、心筋梗塞もやっている。内部被ばくが原因だと思っている。」=写真:諏訪撮影=

元原発作業員、斉藤征二さん(右)。「原発作業ではチリや埃を吸わないようマスクをするが、曇ったりしてフィルターを緩めることがある。どうしても外さなければ作業が出来ない時も。私は、体中にメスを入れられた。甲状腺、背中、心筋梗塞もやっている。内部被ばくが原因だと思っている。」=写真:諏訪撮影=

 若狭原発で15年間配管工として働き、日本で初の原発労働者の労働組合を作った斉藤征二さんは、元原発労働者という立場から訴えた。

 「再稼働するということは、さらなる被ばく者を産むということ。人を入れ替えなければ稼働しない原発では、人が足りなくなり、若い人がどんどん働くことになる。労働者の命を切り売りしているということを忘れてはならない」。

 会場を一見すると、若者が驚くほど少ない。「若者の柔軟な感覚から学ぶべき事がある」との意見が上がった。原発阻止運動の高齢化が危惧される。今後の課題の一つかもしれない。

 今後、阻止ネットは横のつながりをさらに充実させ機能を強化する。近日中に、ホームページも立ち上げる予定だ。

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