「日米密約」半世紀のタブー破り岡田外相が公表 

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冷戦時、米空母は核を積み日本に寄港していた(写真=米軍提供)

 岡田克也外相は9日、安保締結と沖縄返還をめぐる日米間の「密約」について外務省の調査結果と有識者委員会の報告書を公表した。歴代自民党政権が半世紀に渡って存在を否定してきた『公然の秘密』を、日本外交の最高責任者が初めて認めた。

 調査対象となり存在が公認された密約は次の4件――
 
■1960年1月、安保改定時に交わされた核持込に関する密約
■同じく60年安保改定時に交わされた朝鮮半島有事の際の戦闘行動に関する密約 
■1972年沖縄返還時に交わされた有事の際の核持込に関する密約
■同じく沖縄返還時に交わされた現状回復補償費の肩代わりに関する密約

 岡田外相は藪中三十二次官以下、外務省幹部のほぼ全員が出席する中で記者会見し、「4つの密約」をすべて認めた。そのうえで「外交と政治への信頼を低下させるもので極めて遺憾」と述べた。

 安保が改定された60年は朝鮮戦争が休戦してわずか7年しか経っていない。沖縄が返還された72年、ベトナムにはまだ戦火が燃え盛っていた。最大野党の社会党は全盛だ。何より国民の被爆感情は強い。

 「米軍が核を持ち込む」などと言うことが明るみに出れば、政権が潰れる時代状況だった。当時の岸、佐藤内閣は「密約」としなければならなかった。

 だが1990年(厳密には89年)、冷戦は終結し米国の核戦略も大きく転換した。日本に核を持ち込む必要はなくなったのである。

 にも関わらず、歴代自民党政権は麻生内閣に至るまで「密約」を無きものとしてきた。政治の劣化と言われても仕方がない。半世紀もの間タブーとされてきた「公然の秘密」を白日の下に出しただけでも、政権交代の意味はあった。

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