コンクールは「原発安全神話」を作り出す国策として、全国の小学生を対象に1993年から毎年行われてきた。だが今年3月、東電福島原発の事故が発生したことでコンクールの正統性が問われることになった。
文科省と経産省は事故の大きさと収束のメドもつかないことを考慮して、今年のコンクールはとりあえず中止することを決めた。とは言ってもホトボリが冷めれば再開されることも十分考えられる。福島原発事故の原因究明さえできていないのに、政府が九電玄海原発の運転を再開したがっているのが格好の例だ。
永久中止要請に対して、文科省研究開発局原子力課立地地域対策室の池川和彦室長は「国のエネルギー政策を見ながら検討する」と答えるに留まった。一方で「我々は原子力を推進する立場にある」と強気な態度も見せた、という。
要請者のひとり山田岳さん(ただすのもり環境学習研究所)は「コンクールが始まった93年はチェルノブイリ(86年)やスリーマイルの事故(79年)よりも後だ。(日本政府や電力会社の)作為があったとしか思えない」と眉間にしわを寄せた。
果たして「原子力ポスターコンクール」は再開されるのか?
池川室長は記者団の質問に「来年度予算の概算要求の期限である8月末までには判明する」と答えた。