【電気料金値上げ】 庶民の猛反対よそに記者クラブの「東電援護質問」

「東電から電気を買わないようにすることも大事。値上げは納得がいかない」。男性は憤りを隠さなかった。=23日、渋谷ハチ公前。写真:中野博子撮影=

「東電から電気を買わないようにすることも大事。値上げは納得がいかない」。男性は憤りを隠さなかった。=23日、渋谷ハチ公前。写真:中野博子撮影=

 東京電力は22日午前、記者クラブだけに質問させる「電気料金値上げ記者会見」を開いた。そもそも抜き打ちのような形だったため、ほとんどのフリーランスはこの記者会見に出席していなかった。木野龍逸、おしどりマコさんら常連出席者さえも知らないままだった。

 筆者がニコ生で確認したところ、ほぼ1時間(65分)にわたる記者会見で質問したのは9社13人(日経が3人、時事と朝日が2人づつ)。「値上げを利用者に転嫁する」ことへの疑問など東電の責任を追及する質問は一切出ず、値上げの幅と値上げ開始時期などに集中した。東電の補足説明を誘い出す「値上げ援護記者会見」となった。

 ニコ生のコメント欄には「フリーは来てないのか?」という書き込みが頻繁に踊った。記者会見終盤には「新聞村御用記者、値上げ援護質問」という痛烈な書き込みも見られた。

 西澤俊夫社長は、記者クラブの質問に答える形で「料金(値上げ)申請は事業者の権利と義務」と2度にわたって言い切った。値上げの理由は「(原発を稼働できないことによる)火力発電の燃料費分」と重ねて強調した。

「東電の責任なのに私たちが負担するのはおかしい。図々しい」。女性は切々と語った。=写真:中野博子撮影=

「東電の責任なのに私たちが負担するのはおかしい。図々しい」。女性は切々と語った。=写真:中野博子撮影=


 盗人猛々しいとしか言いようのない東電の値上げ記者会見の翌日、筆者は渋谷駅頭で街頭インタビューを敢行した。怒りを隠しきれない庶民の声が、耳に突き刺さった。

 「東電は先ず資産を全部吐き出して、それでも足りないんだったら値上げも仕方がない。ボーナスもらって値上げはおかしい」。(男性30代・品川区)

 「受け容れられない。自分たちの清算を先ずしてから、庶民に負担を負わせるべき。ふざけるな、と言いたい。怒りが毎日湧いてくる」。(女性40代・都内在住)

 「ありえない。電気料金に転嫁すべきでない」。(女性30代・品川区)

 
 「(東電は)国民をバカにしている。普通の市民は東電以外の電気を使えない。選択権はない。『独占はいいよナ』っていう怒りを皆が持ってんじゃないのかな」。(女性40代・世田谷区)

 「国民が暮らしやすいように、どうにかしてほしい」(女性30代・品川区)

 「値上げは論外。西澤社長は『値上げは義務』と言ったが、自分の責任を果たしてからにしてほしい」。(男性70代・都内) 

 西澤社長の説明によれば、4月に企業向けを値上げし、家庭向けは新年の早い時期に国に値上げ申請をする。

 記者クラブだけに質問させた22日の記者会見で鈴木・電力契約部長は「原子力(発電所)の稼働状況などを見ながら(上げ幅を決める)」と意味深な発言をした。『原発再稼働を取るか、値上げを取るか』、庶民に二者択一を迫っているようにも受け取れる。どちらも、まっぴら御免なのだが。 

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