首相官邸前 女たちが大飯原発再稼働に抗議のダイイン

郡山市から参加した女性は、ゼッケンからも悲壮な決意が伺えた。=7日、首相官邸前。写真:田中撮影=

郡山市から参加した女性は、ゼッケンからも悲壮な決意が伺えた。=7日、首相官邸前。写真:田中撮影=


 体を張ったのは今回も女たちだった。大飯原発再稼働に反対する女性たちがきょう、首相官邸前で抗議のダイインを行った。呼びかけたのは『原発いらない福島の女たち』。

 福島はじめ首都圏などから50人余りの女性が参加した。福島の女性たちは白装束で身を固めた。再稼働阻止への並々ならぬ決意が伺えた。

 官邸前で大人数が歩道に体を横たえたりすれば、警察からゴボウ抜きれる恐れもある。ピースキーパーも出動して万が一に備えた。

 「大飯が再稼働すれば、ナシ崩し的に全国の原発が動く。私たちは体を張って止める」。こう語るのは『原発いらない福島の女たち』共同代表の椎名千恵子さんだ。

 もしまた原発事故が起きれば孫子の未来はない。危機感を抱くのは福島の女性ばかりではない。

 東京三鷹市の女性は憤りを隠せない。「デモや集会ではなく行動で示さないと原発は止められない。警察が来ても怖くない。娘が9月に子供を産む。再稼働して事故が起きたら生まれてくる孫に申し訳が立たない」。

 江戸川区の女性も同様だ。「孫がいるので、再稼働は許せない。警察に逮捕されても構わない」。

 官邸前には歌手の加藤登紀子さんも応援に駆け付けた。ダイインを見守る男性陣やメディアも合わせると歩道は人で溢れ、制服警察官は交通整理に追われた。

ズラリと並んだ“死体”。野田首相が見たらどう思うだろうか。=写真:田中撮影=

ズラリと並んだ“死体”。野田首相が見たらどう思うだろうか。=写真:田中撮影=


 午後3時過ぎにダイインが始まった。静寂な雰囲気が辺りを包み、行き交う車のエンジン音がやけに響いた。命を産む女性が「死体」を装わなければならない事態は、異常と言わざるを得ない。

 ダイインは10分間続いた。幸い警察の介入を招くことはなかった。郡山市から参加した女性は高校3年生の子供がいる。「広島、長崎の被爆者はこうして死んで行ったのか。そんな思いが頭の中をずっと回っていた。過ちを繰り返してはダメ。私たちは諦めずに頑張る」。

 女性を敵に回してしまった野田政権は、早晩行き詰まるだろう。「破れかぶれ解散」はあるが、「破れかぶれ再稼働」はない。

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