「金曜夕方は官邸前で再稼働反対」が市民の一週間のサイクルに定着しつつある。官邸前の集会を恒例行事にまで押し上げた主催者(首都圏反原発連合)が、「国会包囲」(29日)の準備のため、27日は別団体の主催(再稼働反対!全国アクション)となった。
首都圏反原発連合の関係者が、Twitterなどネット上で「金曜恒例の再稼働反対集会」は今週に限り日曜日(29日)になったことを周知したが、午後4時頃から市民が続々と詰め駆けた。前日、政府が国会に提示した「原子力規制委員会」の人事に対する怒りを吐き出したいのだ。
参加者で埋まる歩道と車道の間は、これまでのように鉄柵で分けられた。鉄柵のない箇所は機動隊の輸送車が寸分の隙もなく並んだ。警察が、最寄りの「国会議事堂駅」に出口規制をかけたが、切れ目なく人々が押し寄せる。
最後尾は霞が関手前の交差点まで続いた。「再稼働反対、再稼働反対…」。財務省に向かい前傾姿勢で叫ぶ女性がいた。目にはうっすらと涙を浮かべている。栃木から来た主婦(50代)だ。霞が関の官庁街を向いてアピールしているのは、「野田首相に言っても始まらないので、官僚に抗議する」と説明した。
「こんな日本になるとはエリートは思っていなかったはず。学生時代の仲間もあそこ(霞が関)に入ると、国民の声を聞く耳を持たなくなる。原発はゼロにすべき。核のゴミを残して私たちだけ死んで行くわけにはいかない」。彼女は今にも泣き出しそうな顔で話した。
インターネットに馴染みがなく、新聞やテレビで官邸前の集会を知った年配の参加者もいる。神奈川県相模原市から足を運んだ女性(60代)だ。
「毎週金曜夜というのが凄くいい。集会・デモの類は初めて。危なくないと聞いたので参加した。原発にはずっと反対していた。人数が増えれば増えるほど力になるだろう」。
再稼働反対を願う人々の思いが結集する金曜集会。どんな政権が登場しても、日本中の原発がすべて止まるまで、果てることはないだろう。
≪文・田中龍作 / 諏訪京≫
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読者の皆様。今月は原発再稼働で大飯へ、オスプレイ搬入で岩国へ現地取材に足を運ぶなどしたため、出費がかさみました。『田中龍作ジャーナル』は読者のご支援により維持されています。