「記者クラブ制度」とは、ひとことで言うと土佐藩の身分制度である「上士」と「下士」のようなものである。省庁での取材活動においては、上士にあたる記者クラブが下士であるフリー記者やネット記者の“生殺与奪”を握っているからだ。
総務省の記者会見を例に挙げてみよう。フリー記者、ネット記者が記者会見に出席するには、先ずクラブ幹事社の許可を頂かなければならない。幹事社が「よし」と首を縦に振れば「登録」されたことになり、めでたく出席可能となる。
21日、この「登録」をめぐってちょっとした“事件”があった。フリージャーナリストの上杉隆氏は総務省の「ICT検討委員会」のメンバーだったことから館内通行証を持っている。有効期限は平成26年(2014年)までだ。
ジャーナリストであることを証明する「館内通行証」なので、記者会見室に入った。ところが幹事社の知るところとなりお咎めを受ける羽目に。幹事社のX社とY社の記者が2人して上杉氏に詰め寄った。「ここは記者クラブ主催なので・・・」と言い、「(入室は)登録をしてからにして下さい」と暗に退去を迫った。
(途中経過省く)上杉氏は“退去勧告”には従わず、最後まで片山総務相の記者会見に居続けた。これが無名のフリー記者だったら間違いなくツマミ出されていただろう。
晴れて登録されても「オブザーバー資格」というのがある。雑誌協会、専門紙協会、インターネット報道協会などの組織に属していない場合だ。「オブザーバー」は質問権がない。ただ黙って聴くだけだ。質問権のあるフリー記者、ネット記者が「二等市民」とすればオブザーバーは「三等市民」となる。
ご法度と「身分差別」だらけなのが総務省記者会見だ。それを世間に知られると困るのか、記者クラブはインターネット報道協会以外の記者がネット中継することを認めていない。
今年1月「Business Media誠」のディレクターが原口一博大臣の記者会見をウェッブカメラで中継した。(この模様は拙稿にまとめているのでご覧頂きたい※)
案の定、記者クラブから中止命令が下った。幹事社がディレクター氏に「次から認めませんからね」と告げたのである。
フリー記者の畠山理仁氏は「ネットの動画中継を認めて欲しい」と記者クラブに懇願し続けて一年が経つ。
このほど記者クラブ幹事社から畠山氏に「フリー記者たちの意見を聞きたい」との連絡があった。事情聴取である。
『やっと願いがかなうのだろうか?』畠山氏はじめフリー記者たちは期待に胸膨らませて総務省に出かけたのだが・・・・・・
(つづく)
※参考記事
記者クラブはなぜ「ネット生中継」を嫌うのか?
http://www.janjannews.jp/archives/2439140.html