~続~ミャンマー、刑務所で誕生日迎えたスー・チーさん

 アウン・サン・スー・チー氏。「ビルマ民主化運動のシンボルにして、世界で唯一人身柄を拘束されているノーベル平和賞受賞者」という形容が必ず付く。

 19日、スー・チーさんは64回目の誕生日をヤンゴン郊外のインセン刑務所で迎えた。インセン刑務所は軍事政権が政治犯を投獄する劣悪な環境の施設だ。彼女は獄房ではなく刑務所敷地内の一軒家で身柄を拘束されている、という。

 スー・チーさんが国家防御罪の容疑で武装警察官に逮捕・連行されたのは5月7日。5月30日で自宅軟禁の期限が切れる直前のことだった。罪状はスー・チー邸裏の湖から侵入してきた謎の米国人の滞在を内務省に通報しなかった、というものだ。来年予定されている総選挙にスー・チーさんを立候補させたくない軍事政権がデッチあげたとの見方が有力だ。

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スー・チーさんの解放を祈る在日ビルマ人(東京・渋谷の国連大学前で。写真=筆者撮影)

  この日は世界20都市でスー・チーさんの支持者たちが、64回目の誕生日を祝うと共に民主化を求める声を挙げた。彼らは軍事政権による弾圧で海外に逃れ、母国の民主化とスー・チーさんの解放を訴え続けている。

 東京・渋谷の国連大学前には在日ビルマ人100人余りが集まった。黒い鉄パイプでしつらえた檻の中にはスー・チーさんの等身大のポスターがある。銘々がスー・チーさんの写真パネルを手にした。

 筆者は彼らと2年近く接してきた。「スー・チーさんが解放されれば、自分たちも安心して母国に帰れる」と口々に語る。彼らは軍事政権に自由を奪われているスー・チーさんと自らの境遇を重ね合わせている。

 仕事を終えて集まった在日ビルマ人たちを前に、母国に帰ると身の安全が保証されない高位の仏教僧、キリスト教牧師らがスー・チーさんの解放を呼びかけた。

 少数民族のカレン族出身のスェスェタイさんは民族衣装をまとって参加した。「64歳の誕生日をインセン刑務所で迎えなければならないことは、心が痛い。軍事政権はそんなことをやってはダメ」と目を潤ませながら話す。

 「スーチーさんをはじめとする政治囚全員を釈放せよ」。在日ビルマ人たちはシュプレヒコールと共にカゴの小鳥10羽を空に放った。「BMD」(ビルマ民主化行動)のタン・スゥエ議長は「小鳥はスー・チーさんと同じね」と言った。

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