原発から途切れることなく撒き散らされる放射能に怯えながら 暮らす福島の人々が、「市民放射能測定所」(福島市新町=理事長・丸森あや氏)を立ち上げた。17日に正式オープンする。
福島市は爆発、放射能漏れ事故を起こした福島第一原発から30キロ圏外にあることから避難に関わる地域の指定を受けていない。だが高い線量が検出されるホットスポットが数多く点在し、人々の不安は募る一方だ。
行政の計測は甘い。もっと困るのはデータを当事者(本人)に見せなかったりすることだ。市民放射能測定所は住民のこうした不安に応えるために有志が設立した。
同測定所はゲルマニウム半導体測定器(水・土・尿のベクレル数を測定)、ベクレルモニター(食品を測定)などを備えて、住民が持ち込んだ検体の放射能汚染を計測する。そして測定結果を当事者(本人)に細大もらさず知らせる。
高額の測定機器は国内外からの寄附で賄った。同測定所技術担当理事の岩田渉さんは「コメの収穫期になったら産地別のベクレルリストを作りたい。スーパーなど流通業界と提携して食品の安全をチェックしたい」と話す。
「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」の佐藤幸子さんは次のように述べて市民放射能測定所のオープンを歓迎した―
「すでに被曝しているのでこれ以上被曝できないなか、何を食べてよいのか分からなかった。市民放射能測定所は数値をしっかり提示してくれるので心強い」。
本来、行政がやるべきことを住民が担う。市民放射能測定所のオープンは、原子力行政に対する国民の不信を象徴するものだ。