「原発止めろ」と訴えて経産省前で座り込みを続けていた福島のカアちゃん達が、怒りを爆発させた。子供たちを被曝させた東京電力に今日、デモをかけたのである。
福島の母親たちのほとんどが、東電へのデモは初めてである。溜りに溜ったうっ憤は、殺気さえ感じさせた。5人の子供を持つ佐藤幸子さん(福島市在住)は、吐き出すように話した―
「全責任は東電にある。セシウム入りの尿と校庭の土と米を東電にぶちまけてやりたい」。佐藤さんは対政府交渉の席に放射能汚染された校庭の土を持ち込んで「舐めて下さい」と霞が関官僚に迫ったことで知られる。子供の尿からセシウムが検出された時は、同じ尿を役人に突き付けた。
佐々木慶子さん(福島市在住)も東電にデモをかけるのは初めてだ。「東電は国民を騙して『原発は安全』と言ってきたが、その神話は崩れた。謝れと言いたい。核のゴミは自分で引き受けろ。東電が作り出したものだから」。佐々木さんは怒りが収まらない様子だった。
デモ隊の列は長かった。福島の母親たちを先頭に全国各地から駆け付けた女性が続いた。男たちは介添えだ。デモ隊の列は長かった。参加者は全部で千人近くいただろうか。
日比谷公園をスタートした一行は、東電前に達するとシュプレヒコールのフレーズを変えた。「情報を隠ぺいするな~」、「子供たちをすぐ避難させろ~」……。
カアちゃん達のアピールは、子供を守りたい気持ちで溢れ、ごく常識的なものだった。シンプルだからこそ強い。経産省前座り込みはさらに7日続く。「脱原発世論」を決定づける何かが起きそうな予感がする。