市民たちが「原発止めろ」と訴えて座り込みを続ける経産省前のテントが、風雲急を告げている。Occupy開始から65日目にして経産相が排除を視野に入れた実力行使に出たのである。
同省は12日昼前、警察官40人(私服20人、制服20人)を動員し、テントの回りを半周する格好で鎖のバリケードを張り巡らした。しかも鎖には「座り込み等を禁止する」「国有地」などと書いたプラカードをかけた。
テントには毎朝ハンで押したように職員がやって来て、「違法ですから退去して下さい」と告げる。12日も同様だったが、2~3時間後にとんでもないオマケがついていた。テントに詰めていた男性が「(実力行使について)国民に説明すべきじゃないか」と言ったところ、経産省の職員は「あんたに言う必要はない」と言い放ったという。
テントはこれまでにも右翼の“襲撃”に遭い、脱原発を目指す人々は気を揉んでいた。40人もの警察官を動員しての実力行使は、Twitterで瞬く間に広まった。危機感を抱いた人たちが駆け付け、テント前は今尚ものものしい雰囲気に包まれている。
テントは原子力村総本山のノド元に突き付けた脱原発の砦である。全米各地に広がる「Occupy行動」を警察が排除できないのは、夥しい数の市民が占拠を続けているからだ。日本の脱原発も国民的広がりが試されている。