「東日本大震災追悼式典」で天皇陛下が原発事故について言及した部分をテレビ局がカットした問題は、マスコミ自体が取り上げないから「大問題」とならない。頬かむりを決め込むつもりだったのだろうが、そうは問屋が卸さなかった。
記者クラブと検察の癒着を追及し続けてきた「権力の横暴をただし人権を守る国民の会」がきょう、渋谷で脱原発デモを繰り広げ「お言葉カット」の不当性を訴えた。
「マスコミの情報操作は国を滅ぼす」「大本営発表を許すな」「新聞・テレビは国民の敵」…デモ隊のプラカードやノボリには辛らつなメッセージが踊る。宮下公園を出発し10分も歩くとNHK前にたどり着いた。
「原発事故と放射能についての天皇陛下のお言葉を(ニュースで)放映しないのは不敬だ~」。抗議のシュプレヒコールが春のやわらかな空気をつんざいた。
川越市から参加した男性(60代・年金生活者)は「完全な不敬罪だ。原発問題は(テレビ局にとって)タブーなんですよ。これだけ各局が足並みを揃えるというのは恐ろしい。ひどい」と歯噛みしながら語る。
「(お言葉のカットは)とんでもない話だ。日本の歴史は重要なところで必ず天皇陛下がお出ましになる。玉音放送をカットした例が過去にあっただろうか?」、環境NPOで理事を務める男性(40代)は憤懣やるかたない様子だった。
都内在住の会社員(40代・男性)は「テレビ局は自分の都合のいいように編集する。ネットを見ない人はそれしか情報がないのでテレビ報道を信じる」と不信感を露わにした。
宮内庁を担当していた往年の名記者によれば、陛下は愚直なまでに民主主義者、平和主義者なのだそうだ。原発問題について口をつぐめば、原発推進勢力に利用されることになる。
「原子力発電所の事故が発生したことにより、危険な区域に住む人々は住み慣れた、そして生活の場としていた地域から離れざるを得なくなりました。再びそこに安全に住むためには放射能の問題を克服しなければならないという困難な問題が起こっています」。
陛下は止むに止まれず原発事故と放射能汚染問題に言及されたのではないだろうか。
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