『原発を停めるのに右も左もない』。筆者は幾度も言ってきた。それが草の根レベルで進みつつある。右翼青年に共鳴して、元共産党員が首相官邸前で原発再稼働に抗議しハンストを決行している。
右翼青年・山口祐ニ郎さんに伴走するのは、瀬下泰史さん(『WEB政党‐作る会』代表・40歳)。瀬下さんが「原発再稼働に反対してハンストを行いたい」と共産党地区委員長に申し出たところ支部から電話がかかってきた。
「個人の資格で行います」と言ったが、支部は「共産党員であることに変わりはない。反対する」と認めなかった。すぐさま、瀬下さんは離党届を出した。
共産党を離れた翌27日の夜11時45分からハンストに入った。山口青年より2時間45分遅れてのスタートだ。
瀬下さんも一滴の水も飲まない。「山口君が断水してハンストしているのに、傍にいる僕が水を飲むわけにはいかない」というのが理由だ。
ハンスト3日目の29日、東京地方は初夏のような陽気だった。蒸し暑さが体にこたえないはずはない。「飢えよりも渇きの方が辛い」。瀬下さんは顔をしかめた。
『元』とはいえ瀬下さんは4日前までバリバリの共産党員だった。「右翼青年と行動を共にすることに抵抗はないのか?」と聞くと「国を良くするのに右も左もない」と答えた。ケレン味はかけらもなかった。
民族派右翼・統一戦線義勇軍の針谷大輔議長から、気遣いのツイートが瀬下さんに届いた。『もしもの覚悟を決めるか、水分を少しずつ摂るか、どちらかを選ぶしかない』という内容だったそうだ。
「こういう連携が嬉しい」。瀬下さんは、少しやつれた顔をほころばせた。
◇
『田中龍作ジャーナル』は読者のご支援により、持ちこたえています。