今週火曜日(11日)、野田政権が「原子力規制委員会の発足」を閣議決定した。「もうひとつの911テロ」として歴史に名を残すであろう暴挙後、初の金曜集会が今夕、首相官邸周辺で開かれた。
権力中枢に戦(いくさ)を挑むために陣ぶれのホラ貝を吹く会社役員(大田区・男性=70代)の姿が今回もあった。
「(原子力規制委員会人事の)筋書きありきだった。3人は原子力村の出身。“安全だ”と言って原発を動かして行くつもりだ。すべての原発を廃炉にするまで抗議を続ける。政権に対して命を賭して孫子のために戦う。百姓一揆だ」。男性は決然と語った。
田中俊一氏が原子力規制委員長に就任することに最も反発を強めているのは、原発事故で福島を追われた人々ではないだろうか。
「田中俊一には私の自宅に住んで除染をしてくれ、と言いたい。家は荒れ放題で屋根が抜け落ちている。あの家のようすを政治家に見てもらいたい」。南相馬市から東京・立川市に避難している女性は怒りを叩きつけるように話した。
彼女は原発事故後、親戚の家などを転々とし現在が6か所目だ。「ずっと農業をしてきたので、パート暮らしはしんどい」と顔をしかめた。
“主戦場”は官邸前から原子力規制委員会の準備室が入る内閣府の合同庁舎前に移った。委員長候補の田中俊一氏は昨日、福島県庁を訪れた。就任挨拶とみられている。原発を止めたい一心の市民は危機感を募らせた。
合同庁舎前には100人を超す人々が詰めかけた。「人事案撤回」「田中(俊一氏)を降ろせ」…ドラム隊が打ち鳴らす音に乗ってシュプレヒコールが霞が関の夜空に響いた。
「子供が考えても異常なことをしようとしている。国会も通さずに強行突破。民主主義に全くなっていない。ファシズムだ」。東京・町田市から参加した会社員(50代・男性)は唇を噛んだ。
原子力規制委員会は国民の反対に耳を傾けず、来週水曜日(19日)に発足する運びだ。当日は官邸前などで抗議行動が行われることになっている。
《文・田中龍作 / 諏訪都》
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