原発事故 早くもウヤムヤの雲行き

合同記者会見の開始当初は立錐の余地もないほどだったが、今はガラ空きのカメラマンスペース。(6日夕、東京電力本店。写真:筆者撮影)

合同記者会見の開始当初は立錐の余地もないほどだったが、今はガラ空きのカメラマンスペース。(6日夕、東京電力本店。写真:筆者撮影)

 鳴り物入りで始まった福島原子力発電所事故対策統合本部(通称:統合本部)の合同記者会見――

 今回の原発事故で、原子力安全保安院、原子力安全委員会、東京電力、文科省は、いずれも叩けばホコリ、いや放射能が出る組織だ。これら4組織からのコメントを一か所にいながらにして引き出せることから、合同本部の記者会見は当初、立錐の余地もなかった。

 カメラは林立し、席から溢れて立見する記者たちが鈴なりとなって壁にへばりついた。

 ところが開始から10日余りでご覧のありさまである(写真)。カメラは数えるほどだ。記者席は所々空席もある。

 フリーランスの木野龍逸氏や江川紹子氏が地道に追及しているが、当の4機関(文科省、保安院、安全委、東電)はノラリクラリと交わす。

 それもそのはず。官僚は無謬性の砦に守られ、東電は独占企業だ。たとえ責任を厳しく問われて誤魔化せないような事態となろうとも、彼らは痛くも痒くもないのである。

 唯一責任が問われるとすれば細野豪志・統合本部事務局長(首相補佐官)だ。対応を誤り世間に批判されれば、自分の選挙が危うくなる。

 細野氏が事務局長で首相補佐官ということもあり、官僚、東電ともそれなりに緊張感を持って記者団からの質問に答えていた。記者会見が終わるまで細野補佐官が席にいてニラミを利かせていたことが大きい。

 ところが6日の合同記者会見で、細野補佐官は挨拶を済ませると退席してしまったのである。東電、文科省、保安院、安全委にはリラックスムードが流れた。

 記者クラブメディアはもともと厳しく追及する気もないが、カメラが激減したことで答える側の4機関も楽になった。

 史上最悪となったチェルノブイリ原発事故と同じ「レベル7」となった東電福島第一原発事故。「人の噂も七十五日」というが、事故原因の本格究明も始まらないうちにフェードアウトしていきそうな雲行きだ。

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