“歩道も通せんぼ” 金曜集会での過剰警備 弁護士が警視庁に改善申入れ

衆院会館前の歩道から官邸方向に行こうとして警察に止められる男性。「警察法第2条」を盾に取り、市民が公道を歩くことさえ規制する。嫌がらせに等しい警察の対応に男性は「この場面を写真に撮って下さい」。=7月29日、永田町。写真:田中撮影=

衆院会館前の歩道から官邸方向に行こうとして警察に止められる男性。「警察法第2条」を盾に取り、市民が公道を歩くことさえ規制する。嫌がらせに等しい警察の対応に男性は「この場面を写真に撮って下さい」。=7月29日、永田町。写真:田中撮影=

 金曜恒例の原発再稼働抗議集会に参加するため首相官邸周辺に行かれた方々であれば、警察の行き過ぎた規制に辟易したことがあるだろう。

 地下鉄の出口規制などは、序の口だ。信号が青であるにもかかわらず「この横断歩道を渡ることはできません」。「ここから先は通行できません」…。

 規制に従って大人しく歩道上にいても、鉄柵で囲い込まれる。写真もバシバシ撮られる。予防拘束でもされているかのようだ。およそ真人間に対する扱いとは思えない。

 金曜集会に対する過剰警備に弁護士有志が2日、警視庁を訪れ改善を申し入れた。警察の度を越した警備は「警察法第2条が定めた規制権の濫用で同条2項に違反し、憲法第21条が保障する表現の自由を侵害する…」としている。

 警察法第2条は1項で「警察は個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当たることをもってその責務とする」とある。

 だが2項で、「警察は憲法の保障する個人の権利や自由を干渉するなど権限を濫用してはならない」としている。

 衆院第2会館前から官邸方向に行く横断歩道で、警察が市民を通せんぼしている光景をよく見かける。筆者が警察官に「どんな法律に基づきこんなことができるのか?」と尋ねたところ「警察法第2条です」という答えが返ってきた。

 次からは「2項では規制権の濫用を禁止してるよ」と言ってやりたい。

後ろからの圧力で参加者はどうしても警察のピケ線からはみ出しそうになる。=同日午後7時40分頃、国会議事堂前。写真:諏訪撮影=

後ろからの圧力で参加者はどうしても警察のピケ線からはみ出しそうになる。
=同日午後7時40分頃、国会議事堂前。写真:諏訪撮影=


 
 7月29日の国会包囲集会では、参加者2人が公務執行妨害で逮捕された。身柄拘束の瞬間を目撃していた諏訪記者によると――

 国会議事堂前の車道に参加者たちが溢れ出た。警察官が議事堂前でピケを張った。後ろから押される圧力で前方(議事堂寄り)にいる人達は、警察官のピケ線まで押し込まれた。身動きが取れないほどのスシ詰状態だ。酸欠に陥る人が出ても不思議ではなかった。苦しくなったのか。ピケ線をかい潜った男性が、警察に取り押さえられた。

 フリージャーナリストに対する取材規制も厳しさを増している。官邸周辺の歩道で「記者クラブじゃないでしょ。通行できません」と言われ、制服警察官が立ちはだかることが珍しくなくなった。それでも前に行こうとすれば公務執行妨害で逮捕されることは目に見えている。

 記者クラブがピケ線をかい潜っても、警察のお咎めを受けることはない。後ろからの圧力で押し込まれたフリージャーナリストが、仕方なくピケ線をはみ出したら、おそらく逮捕されるだろう。

 警視庁を訪れた弁護士有志は「金曜午後6時から8時までの2時間、官邸前と議事堂前の車道を歩行者天国にするよう」要請した。

 そもそも歩行者天国にすれば、規制も逮捕もない。大勢の市民が権力中枢に集まるのを嫌がる人たちがいる以上、無理な話か。

    《文・田中龍作 / 諏訪京》

   ◇
読者の皆様。先月は原発再稼働で大飯へ、オスプレイ搬入で岩国へと現地取材に出向いたため、出費がかさみました。『田中龍作ジャーナル』は読者のご支援により維持されています。

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