【カイロ発】携帯写メールが見守る市民革命

戦車前に座り込んだ「ムバラク打倒派」の人々を携帯電話の内蔵カメラで撮影する市民。(タハリール広場。写真:筆者撮影)。

戦車前に座り込んだ「ムバラク打倒派」の人々を携帯電話の内蔵カメラで撮影する市民。(タハリール広場。写真:筆者撮影)。

 「オブザーバーの動画撮影は禁止」などと前時代的なことを金科玉条に掲げる総務省記者クラブの面々が見たら卒倒を起こしそうな光景がタハリール広場で展開されている。

 仕事を終えて広場に繰り込んだ市民が携帯電話の内蔵カメラで戦車前の座り込みを撮影しているのである。撮影した動画やスチールは知人、友人にメールで送る。

 ムバラク政権べったりのテレビ局が放送しなくとも、携帯電話の転送に次ぐ転送で映像はマスの規模での国民の目に触れる。さらには海外にも流れる。さすがの軍もエジプト人がそれも携帯電話で撮影するのを咎めることはできないようだ。

 だが市民がめっきり少なくなる朝は軍も強気に出る。10日朝、兵士が「車両を洗うので戦車を動かす」として座り込みの人々と一悶着起きた。兵士も“援軍”を連れてきて説得にあたったが、「打倒ムバラク派」の人々は聞き入れなかった。結局、戦車は動けなかった。

 体を張ってタハリール広場を死守する人々がいて、それをネットや携帯写メールが見守る。現代通信事情を反映した市民革命がエジプトで進行中だ。

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田中龍作の取材活動は読者に支えられています。

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