超大国アメリカの負の側面を一身に背負う帰還兵たちが2日(現地時間)、ウォール街で「Occupy(占拠)行動 」に加わった。
豊かだったはずの祖国に分厚い貧困層を作り出した市場原理主義の本拠地に、元海兵隊員や元アーミーたちが抗議のデモ行進をかけたのである。40人の帰還兵たちが「Occupy行動」現場のズコッティ・パークに到着すると、占拠者たちが拍手と歓声で迎えた。日頃は「Occupy行動」をあまり取り上げない大メディアも取材クルーを出した。
イラクに2度従軍したジョンソン・コーナーさんは次のようにアピールした。「長い間我々の声はとても低く抑圧され、ウォール街の声に無視されてきた。銀行と大企業、そして政府とホワイトハウスに我々の実情を聞かせたい」。
別の男性帰還兵(名乗らず)は「我々は99%だ。我々は合衆国憲法と軍に従うと誓った(元軍人である)。我々はOccupy(占拠)行動を支持するためにここに来た」。
詰めかけた群集は帰還兵たちのアピールを大声で復唱した。ウォール街は株価を告げる場立ちの声に代わって、戦争と貧困に反対する帰還兵の声が響いたのである。
イラクやアフガニスタンなどからの帰還兵は、経済危機による財政削減の影響をもろに被り、医療や社会復帰の支援を減らされた。
命からがら帰還した彼らの多くは、今なおPTSD(外傷後ストレス障害)などに悩む。失業率は、戦争に行かなかった同年代と比べて2倍以上にのぼる。アメリカの世界戦略の先兵として戦闘地域に派遣した彼らに、政府はあまりに冷淡である。
こうしたなか、オークランドでの「Occupy(占拠)行動」に参加していたスコット・オルセン元海兵隊員(24歳)が先月25日、警察に撃たれ重体となる“事件”が起きた。帰還兵や彼らを支持する市民のうっ憤は怒りに変わった。
帰還兵も貧困層も強欲な資本主義の犠牲者だ。もともと縁もつながりもなかった人々が「Occupy行動」でつながる皮肉は、アメリカの不幸でもある。