やはり女は強かった。福島のそして全国の女性たちが「原発を止めよう」と今日から経産省前で10日間の座り込みを始めた。(主催:27~29日、原発いらない福島の女たち/30日~11月5日、原発いらない全国の女たち)
国策として原発を進めてきた経産省(通産省)は、これまでにも市民に包囲され、若者に座り込まれるなどしてきた。今度はエースが登板、経産省に「待った」をかける。初日の正午現在で、全国各地の女性500人が「敵の本丸」攻めに参集した。
大阪の女性(60代)は「孫の世代を潰すようなことをしてはいけない。福井県にある関西電力の原発が事故を起こしたら琵琶湖がやられる。近畿の人たちは飲み水も洗濯水もなくなる。原発は止めるしかない」と話す。
世田谷の主婦(40代)は、かっぽう着姿で参加した。しゃもじをあしらったプラカードを手にしている。「食べ物といい避難(空気線量)といい、基準が高過ぎる。政府は速やかに基準を変えてほしい。主婦は毎日、台所で戦ってるんだ。ふざけるな」。彼女は語気も鋭く語った。
主婦に連れ立って座り込んだ女性(会社員・30代)は、代休を取って参加した。「男たちも来てほしい。男は回りの目を気にし過ぎる。彼らが参加するようになれば原発も停まる」。彼女の口調は、明らかに男性の頼りなさを憤っていた。
座間から駆け付けたグループもいる。「基地も原発も同じ。国家権力が貧しくて弱い所に押し付けただけ」。代表格の女性は筆者をニラミつけるようにして話した。
原発事故発生直後から、女性たちは男性以上に強い抗議の声をあげてきた。3月下旬、銀座で行われた脱原発デモには、集会・デモの類に参加するのは初めてという女性が数えきれないほどいた。結婚も出産もまだという若い女性は、水はミネラルウォーターしか飲まず、野菜は産地を選ぶ。「女の体の中に蓄積されていくんです」。
放射能汚染された福島市内の小学校の土を「安全だと言うのなら舐めて下さい」と政府の役人に迫ったのは、5人の子供を持つ母親だった。
女は子供や母体を守りたい一心だ。経産省は手ごわい相手を敵に回してしまった。原発が停まるまで、女たちは戦い続けるだろう。