原子力規制庁の主力は保安院 検査内容を原発メーカーまかせの独法も温存

原子力安全・保安院の看板が変わっても、中味が変わらなければ事故はまた起きる。=経産省別館・霞が関。写真:筆者撮影=

原子力安全・保安院の看板が変わっても、中味が変わらなければ事故はまた起きる。=経産省別館・霞が関。写真:筆者撮影=


 経産省の原子力安全・保安院にかわって、環境省外局の原子力規制庁が4月1日から発足する予定だったが、国会事故調の結果待ちや国会審議の都合により遅れそうだ。

 原発事故の再発を防ぐためにも、規制庁の誕生はこのまま立ち消えになった方がいいと筆者は考えている。単なる看板の掛け替えに過ぎないからだ。

 内閣官房の「原子力安全規制組織等改革準備室」によると、規制庁は以下のような陣容となる。単なる横滑りに呆れるばかりだ――

・保安院から400~450人
・原子力安全委員会(事務方)から70人
・文科省の原子力安全課から45人

総人員は550人ほどになるものとみられる。

 天下りなどにより電力会社とズブズブの関係だった保安院が規制当局としての役割を果たさなかったことが、今回の原発事故につながった。ところが4月に誕生する規制庁の主力を担うのは保安院の職員なのである。

 さらに驚くのは独立行政法人の原子力安全基盤機構(JNES)が、原発の安全検査にあたり続けることだ。原発メーカーと人事交流(天下り、天上がり)のあるJNESは、検査に手ごころを加えているとの指摘がある。昨年11月には検査内容の原案を電力会社に作成させていたことが発覚している。

 岡っ引きと泥棒が家族も同様で、簡単に縄抜けできるようなシステムになっているのだ。このカラクリが規制庁になっても温存されるのである。

「これで原発の安全を保てるようなチェックができるのでしょうか?」
筆者の質問に保安院の森山善範審議官は「メーカーから(JNESに)転職されたり、(出向で)来られた方もいます」と事実関係を認めたうえで「新しい組織(JNES)のさまざまな規定に基づき仕事をされている」とかわした。

同審議官は「技術支援機関として(原子力)規制庁に対する支援業務を行う」と、さも当たり前のごとく答えた。

「福島原発事故の反省はどこに行ったんだ?」筆者はこう言いたくなる気持ちを抑えるのに苦労した。これでは原発事故はまた起きる、との危惧を強くした次第である。


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