外国人記者が出入りするタハリール広場の南入り口付近でギョッとするプラカードを目にした。「Egyptian Press Deceiving Us=エジプトのプレスは我々を騙している」。英語で書いているのは外国人記者を通じて国際社会にアピールするためだろう。
プラカード近くにいた会計士の男性(33才)は筆者がジャーナリストと分かるや一気にまくし立てた―
「国営テレビは政府のコントロール下にある。民間の新聞も政府の圧力でウソばっかし書く。Nobody believe Egyptian Press。誰もエジプトのメディアを信じちゃいない」。
「インターネットはどうですか?」
「インターネットは有用だ」
ネット上を駆け巡る情報は確かに玉石混交である。だが、人々が自らの理性で価値判断し取捨選択すればよい。タハリール広場の蜂起は象徴的だ。
新聞・テレビの情報に疑いを抱いていたエジプト国民は、「ネットが火をつけた市民革命」を通じて真実とは何かを声に出せるようになった。日本の新聞・テレビはそれには触れたがらない。
記者クラブメディアに洗脳され真実を知らされない日本人は、先進国でも例のない民主主義を知らない民族となるだろう。