退去期限を過ぎて危機感が募る「脱原発テント」を都内在住の若者たちが訪問した。女性テント呼びかけ人の椎名千恵子さんらが迎えた。
東京地方は大寒波の襲来で連日厳しい寒さが続く。暖房器具一つないテントは、震え上がるほどだったが、椎名さんらが説く放射能の怖さに、訪問者たちは身じろぎひとつせず聞き入った。200キロ以上離れた東京といえども安全な地ではないことが改めて分かったようだ。
「妻は『10か月になるこの子の将来が心配』と言って気を揉んでいます」。父親(緑色ジャンパー、手前の男性)が切々と話すと、赤ちゃんは突き刺すような目で睨んだ。シャッターを押す指が震えるほど鬼気迫るものがあった。まだ物心のつかない赤子だが、自分の置かれた境遇が本能的に分かるのだろう。
「放射能時代」を生き抜かなくてはならない子供たちの未来は…。ファインダーに映る赤ちゃんの顔を正視するのがつらかった。
(写真:中野博子/文:中野博子・田中龍作)
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中野写真館は、新人フォトジャーナリストの中野博子(21歳)が担当します。